グローバルレポートGLOBAL REPORT
カザフスタンシルクロードの少年の国で見つけた成長の可能性
中央アジアの広大な草原に天山・アルタイ山脈と雄大な自然に囲まれたカザフスタン。私はこの国の天山山脈の麓にある都市アルマティに駐在しており、日々の業務の傍ら、新たな発見と歴史や文化に触れる機会を得ています。
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全長1,500マイル(2,500km)に及ぶ壮大な天山山脈
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神秘の大地“マンギスタウ”
“中央アジアってどこ?”と思われた方も多いのではないでしょうか?日本と中国の西方にあり、某テレビドラマの架空の国と隣接し、特にカザフスタン・ウズベキスタンは古くからシルクロードの中心国として栄え、現在も地政学的に重要な位置を占めています。特にウクライナ危機以降、欧米や中国などからの注目が集まり、戦略的な関心が高まっています。数年前に体制が変わり、若年層の人口が多いこの国はグローバルに打って出ようとする動きが活発化しています。
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街の風景 -
ウズベキスタンの美しい模様のお皿
一方で、タイトルで少年の国と表現したようにビジネスインフラは脆弱で発展途上にあります。例えば、内陸国のため物流が経済的にも重要なインフラにも関わらず脆弱で、農薬の倉庫を探すだけでも一苦労しました。ルールも頻繁に変わるため、業務を円滑に進めるには人脈形成が何よりも重要です。
中央アジアと一言で言っても、4カ国でまったく文化や考え方が異なります(カザフ人・キルギス人・トルクメン人はトルコ系遊牧民族、ウズベク人はトルコ系農耕民族、タジク人はペルシア系農耕民族)。
現地は、夜間でも女性が一人で歩けるくらい治安が良く、人々は初対面でも人当たりよく、フレンドリーです。しかし、仕事では入口は良くても、興味を失った瞬間に物事が進まなくなることもあり、時間をかけて信頼関係を築く必要があります(ちなみに私は、ドラマに登場する別班の人間ではありませんし、誤送金の被害にも幸い合っていません)。
農業分野では、小麦やひまわり等の穀物から果樹野菜まで栽培が盛んで、広大な土地を活かした大規模農業が行われています。しかし、まだまだ、単位面積辺りの収穫量は低く、その改善には農業技術の向上が重要課題です。その為、政府も生産拡大に向け手厚く支援しています。
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一面の緑が広がる稲の成長期 -
「アルマティ」は現地語でリンゴの町といいます
ちなみに、意外にも中央アジアでは水稲の栽培も行われていますが、これは当地での食文化に影響しています。中央アジアにはプロフという大釜で米・肉・野菜を油で炊く伝統料理があり、祝いの席では必ず家族で囲って食べます。
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カザフスタンの伝統料理“プロフ”
この地での駐在は、単なる業務にとどまらず、歴史と異文化の理解とポテンシャルを実感する貴重な経験となっています。
課題は多いものの、若い国ならではの成長の余地が大きく、今後も日本の高度な農薬・農業資材製品を導入し、安定的に供給することで当地の農業の発展に寄与すべく、邁進していきます。
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青空の下、静かに広がるカザフスタンの田んぼ
